障がい者雇用の問題点と現状

≪障がい者雇用状況の集計結果≫ (平成29年 厚生労働省)
身体・知的・精神障がい者の総数、約858.7万人
うち18歳以上65歳未満の在宅者、355万人
障がい者の法定雇用率は、平成30年4月1日より、民間企業は従業員50人以上の会社は
2%雇用から、45.5人以上2.2%になった。
平成33年までには、更に0.1%引き上げられる(従業員は43.5人以上)
平成29年度の障がい者雇用状況は、雇用障がい者数は49万5795人(対前年4.5%増加)
実雇用率は1.97%
法定雇用率達成企業は50%(対前年比1.2ポイント増加)
法定雇用率未達成企業は、45.471社
そのうち不足数が1人である企業が67.3%
障がい者を一人も雇用していない企業は、26.692社
未達成企業に占める割合は、57.8%
特例子会社の認定を受けている企業、464社(前年より16社増)

雇用されている障がい者は29.769人
≪障がい者の就労支援について≫(平成27年7月 厚生労働省)
<一般就労月額賃金> 身体約22.3万円 精神約15.9万円 知的約10.8万円
<就労継続支援A型平均月額工賃> 約6.9万円 平成18年度と比べて約39%減少している
平均賃金を時給換算すると737円となり、同年度の最低賃金の全国平均764円と同程度である
<就労継続支援B型平均月額工賃> 約1.4万円(時給178円)
上位25%の事業所 26,028円(時給 357円)
下位25%の事業所 4,495円 (時給74円)
最低賃金の全国平均(764円)からみるとかなり低い現状
平均工賃月額が1万円未満の事業所が約4割
<就労継続支援(A型 B型)からの就職者数>(平成25年度 厚生労働省)
1年間に一人も一般企業への就職者が出ていない事業所は、
A型事業所では約7割、
B型事業所では約8割

B型施設に一生いた場合、障がい年金(月65000円)と合わせても、
自立して生活することは難しい
しかも、支援学校卒業後、40年施設にいると一人に対して、
1億5000万円以上の税金が使われる
一般就労できれば、税金を払う側になる
まずは、工賃アップをすること、次に、生きがいを持って働ける一般就労に結びつけることが
必要と思う
法定雇用率は改正されているが、障がい者求人で就職した場合は1年で約3割、
一般求人(障がい開示)の場合は、約5割の方が辞めている現状である
その原因はどこにあるのか、昨年は企業・支援学校・障がい者施設などを訪問し、
状況を調査した。

<企業の課題>
・障がいに対する知識がなく、どう接していいかわからない
・幹部は理解していても、現場でいじめに合うケースもある→2次障がい(うつなど)になる
・その人にあった仕事を切り出すことが難しい
・補助金が切られた時に、解雇する会社もある
・社員がやりたくない汚い仕事ばかりやらせる会社もある
・本人のやる気、モチベーションをアップする仕事内容ではない(単純作業が多いなど)
<特別支援学校の課題>
・高等部になっても、親が送り迎えをしている生徒が半数いて、自力通学の経験がないため、
一般就労の条件である一人で通勤する能力が育っていない(一人で通う体力、忍耐力)

・親が送迎している生徒は、部活動にも参加しておらず、コミュニケーション力や責任感、忍
耐力などの社会性が未熟である
・そのような状況から、卒業後にすぐ一般就労できる生徒は少ない
・学校によっては、高等部2年生から一般就労を目指す生徒には、自力通学を条件にしている

<障がい者施設での課題>
・B型施設の場合、期限がないため、一生いることができる。内職など軽作業で満足して、
時間的にも体力的にも大変な一般就労には行きたがらない傾向がある
・施設は、補助金で運営されているため、休むと補助金が入ってこない
そのため、病院に行くから休みたいと連絡するとタイムカードだけ押しに来てほしいという
施設もある
・A型施設の場合、雇用契約はしているが、仕事がないのに、補助金目当てで、たくさん雇用
して、一人の就労時間を短くし、工賃も少なくしている施設もある(そこは制度の改善があ
った)
<家庭での課題>
・幼児期からの身辺自立ができていないと就労は困難になる
基本は、自分のことは自分でできるように訓練すること
挨拶や礼儀作法など、基本は家庭で教える必要がある
・通学も、親が心配で、車で送り迎えをしている現実がある
様々な課題があり、一般就労に向け、それらを改善していくことが求められる

<今後の目標>
ニート・引きこもりの方も100万人以上いると言われており、高齢化など問題も深刻。
障がい者も含め、ひきこもり、ニートなど就労困難な方が、安心し継続して働くことができるよ
う、いい会社を増やしていくこと、就労環境を良くしていくこと、当事者やその家族のサポー
トを第一の目的として、当たり前に就職して、自立できる社会を目指して活動したい。

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